Revolutという英国発のデビットカードサービスが日本に上陸した。Revoluteが発行するデビットカード内のウォレットにお金をチャージして、オンラインや物理カード決済を行うことができるサービスである。今までは数を絞ったベータユーザのみだった。一般申込みの順番待ちも6000人ほどとなり、一日に数人しか進まなかった。今もベータ扱いだが、日本でローンチして順番待ちも解消されたことで一般開放されたと言っていいだろう。
筆者はバーチャルデビットと物理カードを入手したので現時点で日本で展開しているスタートアップのデビットカードサービスと比較してみようと思う。なお、情報は2020年9月時点の情報である。
Revolut | Kyash Lite | Kyash | バンドル | |
バーチャルカード | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ |
物理カード | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ |
発行手数料 | 無料※1 | 300円 | 900円 | 300円 |
物理カード形式 | IC | 磁気 | IC | 磁気 |
物理カードNFC Pay | ✔ | ❌ | ✔ | ❌ |
Google/Apple Pay | NFC Pay | QUICPay | QUICPay | ❌ |
送金 | 🔺 | ✔※2 | ✔※2 | ❌ |
現金引出 | ❌ | ✔※2 | ✔※2 | ❌ |
ポイント還元 | ❌ | 0.5% | 1.0% | ❌ |
チャージ方法 |
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オートチャージ | ❌ | ✔ | ✔ | ❌ |
使い捨てカード | ✔ | ❌ | ❌ | ❌ |
利用制限 | ✔ | ✔ | ✔ | ❌ |
金額制限設定 | ❌ | ✔ | ✔ | ❌ |
国外口座の作成 | ✔ | ❌ | ❌ | ❌ |
海外利用 | ✔ | ✔ | ✔ | 🔺 |
3D Secure | ✔※3 | ❌ | ❌ | ❌ |
- 更に特典のついたプレミアムカードは月額980円
- 銀行口座からのチャージ金額のみ対応
- 完全対応ではない
細かいところはもっとあるが主な違いはこんな感じだろう。ローンチしたてというのもあるが、オートチャージや、チャージ方法の豊富さで言えば日本で先行しているサービスには一歩及んでいない。しかし、NFC Payや3D Secure対応など、英国でサービスを提供しているだけあってかゆいところに手が届く感じが良い。国内のタッチ決済はFelica搭載端末に限られていたが、AndroidではGooglePayに対応するためFelica非対応の海外端末や格安端末でもタッチ決済が使えるようになる。月額980円で空港ラウンジパスなど、さながらクレジットカードのような特典が用意されているのも特色だ。
Revolutは 様々な通貨のウォレットを作成でき、為替手数料を最小限に抑えることができるのが強みのようだ。本場の英国では送金機能、貯金機能はもちろんのこと仮想通貨や保険商品が購入できるらしいが、日本では貯金機能とデビットカードによる支払いが現時点では対応している。送金は現時点でも可能みたいだが日本ウォレットでは受け取ることができないので実質非対応。アプリのUI上では割り勘支払いや定期支払の項目があるので今後に期待したいところ。
ただ、アプリのクオリティや日本運営の体制には不安が残る。アプリの利用では、PINか指紋認証による保護を設定するのだが、指紋認証でセットアップするとカード番号などが表示されない不具合が発生していた(ベータで修正済み)
Revolutの挙動として、指紋認証有効端末では指紋認証がデフォルトになる→カード番号表示時はPINとSMS認証がトリガーとなるが、指紋認証はそれらが発生しないのでカード番号が表示されない。加えて、指紋認証有効時に初期設定するとPINが空になるので、PINによる認証も通らない
— Quent (@Quent_FL)
また、物理カードの送付は普通郵便で届く。9/19到着予定でアプリ側にも「到着済み」のメッセージが表示されていたが、実際に届いたのは9/24だった。おそらく配送日程は決め打ちでローンチの申込殺到で配送が遅れたものと思われる。とはいえ、普通郵便で配送日程に不整合が生じるのはユーザを不安にさせるしお金を扱う企業としては体制に疑問が残る。
また追々銀行と連携してチャージできるようになるものと思われるが、昨今話題のような設計を間違えると先人たちの二の舞になるので、口座チャージを実装の際は日本の銀行事情に合わせて設計できるように期待したい。
日本国内では同様のサービスでは最後発になるが、十分風穴を開けられるポテンシャルはあると思う。現時点では、ポイント還元のためのスキームに利用されそのため申込が殺到しているようだが、これは後払いの連鎖が続くだけでお金の流れとしてはかなり不健全だ。いずれはそういった不健全なスキームは塞がれる可能性が高い。本家はこれ一つで株取引まで行えるようなスーパーアプリを目指しているそうだが、日本展開に追いては不安要素も多いため、一つずつ実装して拡大していくことを期待したい。
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