⚠この記事はブログ移転前のアーカイブです

Tardigrade.io として正式稼働したStorjですが、1ヶ月動かして気付いたこと、フォーラムを覗いて気付いたことを可能な限りまとめました。

1. ノードからみて Ingress は入力、Egressは出力

ノードオペレータからの視点と顧客の視点は異なります。SNO (Storage Node Operator) 視点でのデータの流れはIngress、Egressと表記されます。データがSNOに降ってくることをIngress、SNOから出力するデータをEgressとします。なお、帯域課金されるのはEgressのみです。

2. 地理的な優劣が顕著

これは、当然のことですが、提供するファイルピースは提供の先着したものに報酬が与えられる仕組みです。主なサービス地域である北米/ヨーロッパ以外のSNOは成功報酬がかなり低いです。Asia圏のサテライトも存在しますが、これはTardigrade.ioのサービス拡大次第といったところでしょうか。

3. そもそも顧客が少ない

昨年からテストでSNOとサテライトの稼働がありましたが、正式にサービスインしたのはごく最近です。顧客もかなり少ないでしょう。今までほとんどテストデータが流れ込んでいましたが、サービスインした3月はSNOに対する支払いが少なかったようです。メインで使用されているソルトレイクサテライトのVettingが頻繁にあるのに対して、ヨーロッパ、アジアなどの他のサテライトからのVettingが全く進まず現在20%程です。

4. 4月以降もテストデータの流入が続く

4月は初週はかなり少量のデータしか流入しませんでした。突然中旬から20Mbps程度のテストデータが流れ込んで、2TBに設定したディスクがあっというまにいっぱいになりました。フォーラムを見るとテストデータの入出力は継続するようです。本来であれば、顧客によるデータ入出力があるといいのですが。

5. CPUをそこそこ使う

常にデータの入出力がある(I/Oがビジーに近い)場合、CPUを結構使います。そのため、NASやRaspberry Piでは少々不利であるとForumに載っていました。

6. HDDは選ぶ

提供ストレージの99.9%がHDDを使用していると思うのですが、ここ最近台頭してきたSMR方式のHDDには注意が必要です。フォーラムにはSMR HDDを使用した場合、負荷が上昇してアップロードに失敗する現象が確認されています。活発な議論が交わされており、また今後SMRのHDDが普及してくることを考慮すると、対応してくれることを信じていますが、現状はSSDのキャッシュなど挟むことで軽減できそうです。

7. 専用ハードウェアは間違いなくペイしない

フォーラムでハードに関すること、ペイアウトに関することで頻繁でレスされるのですが、「Storjのために専用ハードウェアを構築することはやめてください。間違いなくあなたの利益になりません」とあります。実際稼働させてみると、本当にそうで、常にEgressが発生するわけでもなく(ストレージって保存する場所だから常に読み出すわけじゃないよね。レイテンシ考えたら頻繁に使うファイルはキャッシュするよなぁ)固定で収入になるのは占有ストレージ領域のみです。

Audit/Repairもpayout対象ですが頻繁には発生しないため期待しないでください。日本で出回っているHDDの1TBあたりの単価は2000円程度です。単純計算でも、Storjで1TB領域を1ヶ月維持した場合、1.5USDの報酬ですので、1年間維持してようやくペイできるレベルになります。もちろん1TBを12ヶ月維持してこの値段なので、今から始めて1年後にペイできるわけではありません。更に電気もかかってくることを考えると、専用のコンピュータ、HDDをお金をかけて用意しても簡単にはペイできなくなります。

サービスインして間もないことを考えると、やはり専用ハードを整えるより普段から24時間起動しているサーバの余剰領域を貸し出すにとどめいおいたほうが良いでしょう。

8. Nodeはアップデートが頻繁

かなり頻繁にアップデートされ、機能追加や改善が活発です。Tardigrade.ioもサービスとして生き残れるように必死だし、SNOを運用する人々も、利益先行よりもStorjの成功を願って参加している人が多い印象です。ペイアウトのルールも積極的に開示しかなりオープンな雰囲気です。

9. サービスとして生き残れるか

S3互換のストレージサービスは結構存在しています、Tardigrade.ioも破格というわけではないありません。ここより安いストレージサービスはいくつかあるんですよね・・・Backblazeとか。

一般人のHDDを提供しあうアイデアは唯一無二ですが、顧客が気にしているのは値段と使い勝手、可用性と性能です。後発サービスとして強みをアピールして顧客を増やせるか・・・顧客がふえればデータの流入も増えるはずですので、容量は過剰に増やさず静観するべきでしょう。